ほくほく線と単線トンネル

薬師峠信号場で停車すること数分、急に強い耳ツンがやってきた。後ろを見ると、683系のヘッドライトが遠くに見えている。単線トンネル突入時の圧力波はかなり大きい。在来線の普通電車で、トンネル内で対向列車とすれ違う時に耳ツンを感じることがあるが、今回の耳ツンはそれとはまったく違う感じのものだった。
信号場は空間が広くなっているので、追越す瞬間や通過後の圧力変動は殆ど感じなかった。

また、単線トンネルの走行抵抗はかなり大きい。HK-100は普通電車としてはかなり高性能なのだが、それでも単線トンネル内では110km/hまでなかなか加速しない。ほくほく線の建設再開当初、国鉄時代の試験結果を元に走行抵抗を算出していたのだが、JR西日本が協議に参加するようになった時、同社は681系を用いて深坂トンネルで試験した時のデータを公団等に提供した。その結果はそれまでの知られていた値よりはるかに大きな走行抵抗が測定され、その扱いを巡って議論が重ねられた。開業前の試験では、やはりJR西日本が測定した値に近い走行抵抗が記録され、その他様々な事情もあって140km/hでの開業となった。

小断面トンネルでの高速運転は難しいということを、今回の移動であらためて実感した。