ほくほく線と単線トンネルの走行抵抗

あいかわらず「ほくほく線」+「トンネル」の検索でお越しになる方がいらっしゃるようなので、追記。

三セク新線高速化の軌跡

三セク新線高速化の軌跡

「三セク新線高速化の軌跡」という鉄道建設公団がまとめた本に、北越急行線建設時に問題となった単線トンネルの走行抵抗についての記載がある。これによると、ランカーブ作成に使用するトンネル抵抗の想定値をいくらにするかについて、相当の議論があったそうである。同書の中に記載されている値を以下にまとめた。

測定年 場所 走行抵抗 備考
1959年 伊東線宇佐美トンネル 2kgf/t 単線、50〜80km/h
1959年 東海道線日本坂トンネル 1kgf/t 複線、50〜80km/h
国鉄時代 上越線清水トンネル 7kgf/t 運転速度100km/h以上
1992年 北陸線深坂トンネル 15kgf/t 単線、160km/h想定時の値
1996年 ほくほく線 15〜17kgf/t 開業前試験時

トンネル抵抗は速度と断面形状に依存する値になるが、実際のランカーブ作成時には加減速度を算出するために車両重量あたりの値に換算して扱うことになる。深坂トンネル・ほくほく線での算出は681系3M6T編成での値である。

15〜17kgf/tの値というのは、結局のところ15‰〜17‰の勾配に相当する抵抗となる。681系のような高速向けの高性能車両(サンダーバードでは通電A50)であっても、130km/h以上の領域では走行抵抗の増大とあわせて、無視できない値となる。圧力変動の問題もあるため、今後単線の高速鉄道というのはあまり生まれないのではないかと思われる。