JR東日本の最悪なサインシステム

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JR東日本のサインシステムはいろいろな意味で最悪である。営団地下鉄や東急などはもちろん、JR全社の中でも最悪である。修悦体が生まれた背景には、この非常に悪いサインシステムがあると思う。

悪さ加減が良くわかるのが、以下の写真である。

これはもっとも一般的なコンコースや通路での誘導サインの変遷を示したものであり、一番下が最初の形態、その上が区切り線が入った形態、そして一番上が現在使われているスタイルである。一番下の形態は、右に行くのか左に行くのかが極めてわかりにくいという難点があった。どの矢印にもっとも近いかを判断して、方向を認識する必要があったからだ。この写真の例では比較的マシだが、このサインシステムが採用された直後の東京駅のサインなどでは方面が多数あってかなり横長になり、意味不明な案内標識があった。

その後、区切り線が導入された。本来は区切り線などに頼らずにわかるようなサインを考えるべきであったのだが、安直に区切り線を入れるという方法で解決した。しかしながら、この区切り線も全体に比べて細く、視認性という点で課題が残る。中段の標識の埼京線をぱっと見て、どちらに行くのか直ぐに理解できるだろうか?区切り線の位置との関係を認識してからでないと、判断できない。

そして現在使われている形態は、区切り線が太くなり、個別に矢印がつくようになった。また、ラインカラーブロックが区切り的に見えるのを防ぐため、下側を縁から離すようになった。この3形式を見比べてみると、一貫性の無さというかサインの必然性の無さを強く感じる。なぜこのサインにしているのか、説得力がない。

秋葉原のように路線が多い駅の場合、矢印との離れが大きくなってたちまち意味不明な案内看板ができてしまう。直進のルートのグループ化が不十分である。ところで、この直進矢印は1番線の表示の左側に持ってきているが、これはどのようなルールによるのであろうか。一般的には6番線の表示の右側に持ってくるのが正しいのではないだろうか。

悪さに拍車をかけた新宿駅の例

新宿駅の東西通路の案内標識は、利用客を迷わさせるさせるためとしか思えないような改悪がなされた。

一体、これをデザインした人はどのような思想の元に、こんな風にサインを並べようと発案したのだろう。一枚一枚、看板を良く見て歩け、ということなのだろうか。案の定、こんな混乱も見られる。

このサイン、もしこれが1枚の「板」に収まっていたならまだ理解しやすいと思われる。が、連続した白いアクリル板の中に無造作にこんなものをおかれると、解釈がわかれてしまう。しかも、右側の矢印は標準スタイルではなく、何か強調しているようにも受け取れる。

この15・16番乗り場のサインの奥に見える*1出口の案内も、良く見ると奇奇怪怪なサインになっている。標準からかなりはずれているし、右側は西口の黄色の配下に丸の内線の乗換があるのに、左側は西新宿方面の黄色ブロックの右側に離れて丸の内線の乗換の案内が出ている。

矢印のアスペクト比

もうひとつ、以前から気になっているのが矢印のアスペクト比である。民営化後、デザインルールが制定された当時(中学生ぐらいだったか)に一番違和感を感じたのが、矢印である。なぜ、1:1に近いアスペクト比になっているのだろうか。

サインマニュアルはどうなっているのか?

以前より、これら混乱を生み出すサインマニュアルはどうなっているのかが気になっていた。8月3日にサインマニュアルを見る機会があり、長年の疑問が氷解した。何社かのサインマニュアルを見た観点からすると、JR東日本のサインマニュアルには

    • 誘導サインの区切り線の入れ方のルールがない
    • 広告との関係(規制や配置ルールなど)が記載されていない
    • 色弱者への対応が記載されていない
    • 視認角度と設備の関係などが記載されていない

など、いろいろと問題点がある。このあたり、他社のサインマニュアルを参考にしてもう少し記載を増やした方が良いように思われる。

最後に

もし、このblogを本社設備部の人や東京工事事務所の人が見ていたら、毎日通勤で使っている新宿駅の悪さを良く観察して、ぜひ社内でサインシステムの全面的見直しを提案して欲しいと思う。今のままでは基本のサインが悪すぎるので、個別での改善を目指してどんどん亜流が生まれ、サインシステムが崩壊してしまう。

また後日、これらのサインについて若干の改善を提案してみたいと思う。

追記

2012年9月17日の日記でサインマニュアルを取り上げています

*1:その手前にサインと同様の形式で広告が出ているが、あまりにも自明なのでこれの論評は省略する