JR東日本のサインマニュアル

このblogで以前よりアクセスが多いのが、「JR東日本 サインマニュアル」という検索結果経由である。その結果アクセスされるのが、2007年8月26日の日記である。この記事は、ものすごくさらっと書いてあり、大して参考になる情報が載っているわけでもない。突っ込んで書こうと思ってはいたのだが、まじめにデザインの話をするとなるととても時間がかかるのでそのまま放置していた。

しかし、あまりにもアクセスが絶えないし、WEB上には他にめぼしい情報も無いので、少しサインマニュアルの話などを取り上げてみようと思う。これは旧新橋停車場で開催されていた鉄道のデザイン展で置かれていたものを、2007年8月3日に撮影したものである。なんか、全ページを撮影した人もいたようであるが、私が撮影したのは数ページである。そのうち一部を取り上げてみることにする。

なお、当然ながら以下に載せるサインマニュアルは、JR東日本著作権を有しているものなので、著作権法32条に定める引用の範囲、ならびに引用に関する判例*1に適合する範囲で取り上げる。

サインマニュアルは加除式のファイルになっている。

これは、一般的な案内サインの配置ルールを定めたものである。コンコース上における配置箇所として、動線の結接点・分岐点に設置することを示したものである。基本的な考え方はこれでよく、やたらめったらとサインを配置すればよい案内になるというものではない。サインが増えれば、いちいち注意を払う必要が生じ、肝心なサインを見落とす恐れがあるからである。2007年8月26日の日記で新宿駅のサインを批判しているのも、ここにある。

フランクフルト空港(FRA)の乗り換えが複雑、と言われる理由のひとつに、やたらめったら案内サインが多いことにあると思われる。FRAでは、ゲート番号の案内が至るところにあり、これに従って行けばいかなる乗り継ぎパターンでも、パスポートコントロールや保安検査、スカイライン経由の移動なども自動的に適切に通過できるようになっている。

ところが、あまりに数が多いので分岐点を見逃してまっすぐに進んでしまう失敗をやらかすことがある。写真ではA28-42のゲートは直進である旨記載されているが、ある場所で突然「↑A28-36|A37-42→」のような表示が出たりする。これを見落としてどんどん行ってしまうと、目的とするゲートの表示が無くなってしまって迷子になる。結局、サインを一枚一枚、チェックしながら移動しなければならない。
もっとも、フランクフルトについてはこの方式からの改善は難しいと思う。ただ、スカイライン乗り場やシェンゲンエリア内を結ぶトンネルなどのような重要はポイントは、もっと大きくわかるように表示して欲しいと思う。かく言う私も、地下トンネルを間違って行き過ぎてしまい、とても不安に思ったことがあった。

JR東のサインマニュアルの話に戻って、垂直移動設備について、動線が分かれることが多いので配慮が必要としている。これは本当にその通りで、ホーム上でお年寄りが階段を前にしてエスカレータ・エレベータを探して戸惑われているのを良く見かける。この点、JR東は比較的マシで、JR西のサインは甘く、どこにエレベータがあるのかなかなかわかりにくいことが多い。


そしてこれが問題の、のりば案内標である。横長を標準とし、縦長の四角形でラインカラーを表示、そのにのりば番号や路線名を記載している。

これが制定された経緯について、検索した結果によると、「JR東日本」駅案内サイン標準デザインというものがひっかかり、どうも89年に新宿駅にサインを導入する際にGKがデザインした、というのが走りのようである。

(書きかけ)

*1:最高裁判所昭和55年3月28日判決