探傷試験の実例(カラーチェック)

新大阪駅構内で、最近レール更換が行われていた。10m程度の長さであるから、探傷車か何かで損傷を発見して、その部分だけ更換したものとおもわれる。下り外側本線であるのでロングレール化されており、両端は溶接されている。この溶接はゴールドサミットという、アルミの酸化反応を利用して高熱を発生させて鉄を溶かして流し込む方式で、短時間で溶接が可能であることから在来線で広く使われている。しかしながら溶接時に衝撃が加わったり、予熱が不良であったりすると、溶接に欠陥が生じることがあるため、溶接後は必ず検査を行う。検査方法としては超音波による探傷が一般的であるが、今回の現場では加えてカラーチェックも行ったようである。

このカラーチェックは以下のような方法で行う。

  1. 洗浄液で、検査箇所を十分洗浄する
  2. 浸透液を塗布し、しばらく待つ
  3. 表面を洗浄液で軽く拭く
  4. 現像液を塗布し、表面に浮き出てくる傷を観察する

これだけである。詳しい手順は、メーカであるタセトのページに紹介されている。


そんな簡単な方法でわかるのか、と一瞬思うが、この方法で結構細かい傷まで発見することができる。傷は線状になって表れるので、注意して見れば浸透液の残存模様などと区別できる。ただ、この方法は表面に現れた傷しか見えないので、内部欠陥を観察するためには超音波探傷等が必要になってくる。

兵庫県のWEBサイトでエキスポランドの事故を受けて行われた調査結果が公開されている
遊戯施設緊急点検結果一覧表
ここでは、超音波・磁粉・浸透の3種類にわけて検査方法を示しているが、必ず2種類以上の試験が行われていることがわかる。

もし、エキスポランドが1年3ヶ月前に「ボギー先端軸」の探傷試験を行っていて問題がなく、1年3ヶ月後に破断したのだとしたら大変な事態である。そんな亀裂進行速度であれば、1年周期の検査では意味をなさない。6ヶ月でも危険である。というわけで、今回の事故は単純な検査漏れではないと思われるが、車軸の鑑定結果が出るまでは確たることは言えない。