涸沢→横尾→徳沢→明神→上高地

朝、4:30に起床する。脱いでいた服などを着込み、外へ出る。まだ夜明け前だが、既に周囲は明るくなっている。当然ながら寒い。完全な晴天ではないので放射冷却はいくぶんマシなのだろうが、それでも外気温は....

朝焼けはそれほどでもないのだが、山々がうっすらと色づいていく景色は見飽きない。

小屋に戻って、朝食まで時間をつぶすことにする。図書コーナーへ行き、ゲストブックを読む。いろいろな人が感想を書いているが、19才の人の書き込みはなかなか深いものがあった。

2年前、家族や教師と衝突して家出し、東京都から適当に電車に乗って松本までやってきて、行くところに困って保護を求め、パトカーで松本署へ連れて行かれる。警察の人といろいろ話をした中で、山の話は少しだけ。教頭に「何で松本へ行ったんだ?」という質問に、適当に「山を見たかったから」というと教頭は真に受けて、今度北アへ行こうと言い出す。河童橋穂高連峰を見て、自然に体が震える。天気が崩れるから、ということで岳沢経由で穂高岳山荘宿泊の予定を変更して、岳沢→前穂→奥穂→涸沢と行動し、涸沢ヒュッテに泊まる。一度も登山なんかしたことがなかったのに。山に目覚め、卒業後、山小屋で働き始める。そして、再び涸沢へやってきた。

そういう内容だった。ああ、そういう人生もあるんだな、と思った。全部が全部、山に登れば解決するわけではないだろうけど、それでもこの穂高連峰は何かを変えてくれるような気がする。

6時前に朝食となる。前回はここでおかわりをしなかったのだが、今回はご飯とお味噌汁をおかわりする。どうも、行動中の摂取カロリーが不足していたようだ。朝食後、少し横になる。

7:02に小屋を出発する。アイゼンなしでも良いかな、と思ったが、表面は今朝の冷え込みでかなり硬くなっている。出だしの斜面でいきなり転ぶのも格好が悪いので、アイゼンをつけて一歩一歩降りていく。表面はかなり硬く、アイゼンがすんなり刺さらない箇所もある。高度を下げて行くと涸沢ヒュッテが見えなくなり、やがて沢が左へ回りこむ。日陰に入り、さらに進んで日陰から抜けると、雪がかなりやわらかくなった。

本谷橋には7:59に到着。ここまで来るとかなり雪が腐っている。かといってワカンなどをつけるほどでもなく、中途半端なところ。

横尾には9:03に到着。登山は終了する。だらだらと横尾街道を歩いて、河童橋には11:34に到着する。