南高田→直江津→金沢→梅田→自宅(473.6km)

なんだかんだで話は延々と続き、こりゃ富山泊かなあ、と思いだした頃、金沢支店の人が「我々、16:39で帰りたいので」と切り出して収束させる。駅へ向かい、途中のデイリーヤマザキで食料調達。

直江津に着いて、帰りの切符を購入する。ちょっと悩むが、全区間自由席で手配する。座れないことはないだろうとの判断。時間的に北越8号はぎりぎりなので、後続のはくたか18号に乗る。天候が安定しているので、わざわざボロ越に乗って金沢で41分待ちぼうけする必要もないだろうとの判断。

待合室で時間をつぶす。高校生女子の集団が入ってくる。皆、卒業アルバムを下げている。今日が卒業式だったのだろう。それにしてもスカートの短さには恐れ入る。なんで寒冷地である新潟が、日本で一番スカートが短いのだろうか。名残惜しそうに、馬鹿話をしている。しばらくして、方面の違う一人が帰っていく。「明日もまた会おうね、この格好で」などと言っている。ふと、私自身の卒業を思い出す。卒業の1ヶ月前ぐらいから、「この生活も終わりか、社会人になってしばらくしたら絶対にこの時間・空間を懐かしく思うだろうなあ」と思いながら、時間さえあれば研究室の天井を見上げていた。

社会人になって3日で境遇の違いに思いを馳せ、ひどく寂しい気分になるとは、当時は思いもよらなかった。今でも僕はあの研究室の空気や感触を今ここにあるかのように思い出すことができる。当時の友人は、ほぼ全員が今もかわらず同じように存在している。時間の流れは確かにあるのだということを、しばらく見なかった親戚の子供の顔で確認することはできるのだが、学生時代のあのときの時間は不連続に今の私に繋がっている。まるで、子供の頃に夕方の中途半端な時間に寝て目覚めて、夜にもかかわらず早朝であると勘違いしてしまうように。

はくたか18号は、定刻の16:24に直江津を発車する。さっそく、缶ビールを開けてちらし寿司を食べ始める。リクライニングを倒し、忙しかった一週間を振り返る。すべてがクリティカルパスに乗っていた一週間も、久々な気がする。

金沢に到着した時点で、もういい加減にしてくれという感じになる。

加賀温泉では阪急交通社の団体客が乗ってくる。こんな時間に帰るような団体ツアーは願い下げである。