新聞社 崩壊したビジネスモデル

新聞社―破綻したビジネスモデル (新潮新書)

新聞社―破綻したビジネスモデル (新潮新書)

毎日新聞常務による、新聞問題の考察。個別配達網・押し紙・強引な拡販の問題や、広告収入減少などの構造的問題を赤裸々に語り、毎日・中日・産経が広範囲な業務提携を行うことでしか生き残れない、という内容。経営側から見た新聞問題、というような雰囲気の本で、納得できる部分も多いし正直な記載にも好感が持てる。

しかし、どこかピントがずれているような気がするのは、「新聞が必要とされていない」分析に根本的な甘さがあるからではないかと思う。サンゴ礁を傷つけてそれを1面に掲載してみたり、戦場から不発弾を持ち帰って空港で暴発させて死者を出したり、匿名発表はけしからんなどと言いながら、自社の社員の不祥事は匿名だったり。そういう、メディア自身の根本的な『勘違い』をネットによって多くの人が知ることとなったわけで、新聞に対する信頼などとっくに崩壊している。そこのところの認識が甘すぎるように思う。

残念ながら毎日新聞は、言論がさらに迷走してしまっている。新聞が背負う「われわれ」はいったい誰なのかというコラムの中に記載されている、毎日新聞幹部が言ったとされる以下の部分、

都市型新聞を目指したって朝日、日経に勝てるわけがない。だったらうちは徹底的に『弱者のための新聞』を目指すしかないんだ

を忠実に追っかけた結果が、大淀病院事件の捏造記事だったような気がする。