岡本喜八を継ぐもの

晩御飯の時、NHKで「神様がくれた時間 〜岡本喜八と妻 がん告知からの300日〜」というのをやっていた。テレビは見ない主義なので、食事が終わるまでの短時間しか見ていなかったのだが、先日ニュースで伊丹十三記念館が松山(台湾ではなく日本の方)にできたというニュースを思い出した。

両者には多くの共通点が見られる。テンポを重視したコマ割り、コミカルな中にもシニカルな視点を盛り込んであること、重要な道具としてモブシーンを用いることなど。そして、岡本喜八伊丹十三も、社会派的なテーマをうまく映画として消化しているいることなど。

この、直接の後継者は育っていないように思えるが、アニメの世界には多大な影響を与えた。宮崎駿の作品を良く見ていると、岡本喜八の影響をかなり強く受けていると思われるシーンがあるし、庵野秀明は自作に大量の岡本喜八作品のパロディーを盛り込んでいる。岡本喜八大誘拐でビデオテロップを使ったのに感化されてか、ふしぎの海のナディアの37話ではテロップが使われている。また、制作費を使い切ったために庵野監督が自腹を切って作画した34話では、エンディングロールで演出:岡本悲八というものが表れる。これは、あまりにも岡本作品に感化されすぎて、無茶な要求を突きつけられたスタッフが皮肉ったものらしい。彼らに限らず、多くの人に岡本喜八の作品は影響を与えたと思われる。

最近、邦画の復活が喧伝されているが、一つ一つのシーンの見せ方に徹底的にこだわり、斬新な手法を駆使した岡本作品を超えるような作品は出てくるのだろうか。